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様々な材料で遊ぶキャラクターたちのコラージュ
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素材をマスターする旅

はじめに
時計のケースはムーブメントを保護すると同時に装飾するものでもあります。重さや質感、色がその素材の美的または物理的な存在をアピールします。ゴールド、セラミック、ステンレススティール、貴石からラバーまで、それぞれの素材は独特の味わいを持っています。この記事ではいくつかの素材についてその歴史を学び、オーデマ ピゲにおけるその変遷に焦点を当ててみましょう。

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日常をサバイバルする

時計を設計する時点からケースの素材については多くの点を考慮することが必要です。数十年または数世紀使用されることも考慮し、手首につけた状態で傷や湿度、熱、酸化、衝撃などに耐えなければなりません。よって素材の物理的、化学的特性は非常に重要です。

その中でも硬度は最も重要な特性です。ケースが硬ければ硬いほどウォッチは傷や衝撃の影響を受けにくくなります。しかし同時に製造はより難しくなります。

展延性もまた重要です。これは素材を割らずにねじることができるという特性で、一般的には柔軟性や展性とも言われます。例えばゴールドはとても展延性があるため、ジュエリーやウォッチに向いています。

弾性は少し意味合いが異なります。これは素材を変形させた後、元の形状を取り戻すことができるという特性です。技術的な表現では回復力と言うことができます。ムーブメント部品の中には優れた弾性を必要とするものがあります。ケースにおいても重要な役割があり、例えば優れた回復力で傷や衝撃に耐えるBMGのような素材があげられます。

また重さ、正確には質量という特性があります:1 kgの羽は1 kgの鉛と同じ重さということです。長い間、軽いという特性は価値が低いように考えられていましたが、今は価値観も変化しています。

さらにいくつか重要な特性があります。それは耐食性とバイオ還元性です。時計は錆びたり酸化したり肌にアレルギーを起こしてはなりません。

素材 硬度 ヴィッカース(HV) 質量 (g/cm3) 弾性 (module d'Young GPa) 傷への耐性 融点 (°C)
ゴールド(18K) 140-230 15-16 90-110 良好 890-1150
シルバー 60-80 10-11 80-90 中程度 820-890
地板 90-140 19-21 170-190 中程度 1800-1900
タンタル 90 16,6 175-190 中程度 >3000
ステンレススティール316L 200-350 7,9 190-250 良好 1300-1500
チタン(グレード5) 300-380 4,5 105-120 非常に良好 1600-1700
フォージドカーボン >50 1,9 40-150 中程度 該当しない
セラミック >1200 5,6-6 200-250 優秀 >2500
ブラス 90-170 8,4 80-130 中程度 880-900
アラクライト 385 8,4 210-220 非常に良好 1300
セルメット >1500 5-10 成分構成による 優秀 成分構成による
タングステン >2000 18-20 360-410 優秀 >3000
ラバー 該当しない 0,9-1,1 2-5 優秀 該当しない
BMG 500 9,3 80 優秀 550
ダイヤモンド 最大 = 10モー) 3,5 >1000 優秀 >3000
ターコイズ 6モー 2,6-2,9 該当しない 優秀 該当しない

この表は異なる素材の主な特性を記したものです。これらの特性を理解することはウォッチの設計と製造にとって非常に重要です。素材の選択は、オブジェの一生にわたって影響を与え続けることから非常に重要です。ウォッチは数十年、数世紀にわたって着用され、日常的に厳しい環境にさらされます。 

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3つの時代の歴史

オートオルロジュリーには必ず貴金属が使われていたということではありません。産業革命前は、時計は素材に関係なく、基本的に贅沢品でした。1800年代からゴールドとプラチナが高級ウォッチに君臨するようになりましたが、1970年代からはハイテク素材が登場し、次第にセグメントが拡大して行きました。

第1章 ストーンの時代から真鍮の時代(14世紀から19世紀)

ごく初期の時計は鉄製で、ストーンで飾られ鐘塔に取り付けられていました。壁時計には多くの場合キャビネットが付属しており、木、真鍮、ブロンズ、亀甲などで飾られていました。しかし移動の必要があったり時計を運搬するようになってくると、テーブルクロックや馬車の時計、懐中時計などの外装にメタルを使うようになりました。そして多くの場合それは貴金属ではありませんでした。

第2章 貴金属の時代(19世紀から1970年代)

17世紀と18世紀の懐中時計はほとんど真鍮製でした。これに付加価値をつけるため、時計師たちは時計をエナメル、シルバー、ジェムストーンなどで飾りました。ゴールドは17世紀に、エナメルで飾ったウォッチのベゼルに目立たない形で登場します。18世紀半ばになるとケース全体を貴金属としたウォッチが次第に多くなってきます。産業革命が始まると、ゴールドはオートオルロジュリーの品格を示す象徴とされ、一般的なウォッチと一線を画していました。

第3章 新しい展開(1970年代以降)

1970年代からゴールドはその象徴的地位を失います。1972年、オーデマ ピゲはステンレススティールを高級素材に昇華させました。クォーツ危機に見舞われ、伝統的な時計づくりに新たな風が吹き込まれチタン、セラミック、カーボン、メタルガラス(BMG)などのハイテク素材が登場しただけでなく、それまでほとんど時計には使われていなかった花崗岩、プラスチック、ラバー、ウッドなども登場しました。

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天然石ケース

それぞれの文化と時代によりジェムストーンは希少性、神秘性、輝き、カラーといった象徴的な価値を持っています。

ルネッサンス以降、貴金属の時計にさらなる付加価値をもたらすため、職人たちは水晶、ジャスパー、メノウ、サファイアなどで飾りました。

17世紀と18世紀に多かったストーンを部分的に使った時計の外装は、その後少なくなります。そしてアールデコの時代に再び登場し、さらに1960-70年代にも現れます。21世紀始め、オーデマ ピゲはウォッチの地板を天然石で作ることに挑戦しました。

小さな天然のインクルージョンは、ストーンウォッチを美しくみせる一方、壊れやすくもあります。石の加工中に割れたり、ひびが入ることを防ぐため、職人たちは特別なグラインダーを使い、なるべく振動を抑えながら作業します。今日でもストーンの外装部品は完成前に割れてしまうことがあります。 

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貴金属の入口、シルバー

ゴールドよりしなやかで軽量ですが、酸化に弱いシルバーは、歴史的にはオートオルロジュリーの世界に最初に君臨した貴金属です。16世紀から18世紀まで、シルバーには繊細なグレービングが施されていました。クラフツマンたちはダイヤルにはシルバーをよく使いましたが、ケースに使うことは稀でした。

そしてシルバーは高級品においてゴールドに座を譲ります。1900年代にはクロームメタル時計と貴金属時計の中間のような位置を占めていました。1930年になるとステンレススティール ウォッチが登場し、シルバーは表舞台から遠のきます。

シルバーはゴールドより安価でもあり時計師見習いに好まれ、時計学校の卒業時に提出するスクールウォッチによく使われました。そのため、1769年にオーデマ ピゲ創立者の曽祖父ジョセフ・ピゲが、そのメトリーズウォッチにシルバーを選んだのも偶然ではありません。 

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金属の王、ゴールド

優れた貴金属としてゴールドは古代から多くの文明の中で重用されています。安定した価値、通貨基準でもあるコインや高級オブジェの制作に用いられます。ゴールドは希少性、輝き、耐食性、バイオ還元性、重さ、安定性、加工しやすさなどに加え、富や成功、太陽などの象徴でもあります。


純金(24K)は柔らかすぎるため時計製造には向いていません。ウォッチケースには純金を75%含む合金である18Kゴールドが多く用いられます。米国や北欧では長い間14K(純金が58.5%)が好まれていました。さらに9K(純金は37.5%)合金もあります。

この含有率は刻印により証明されなければなりません。一方、合金に加える金属は時代やブランドにより、またカラーの好みなどで様々です。ホワイトゴールドはシルバー、パラジウムを加えます。以前はニッケルを加えていました。ピンクゴールドは銅と銀を加えます。ゴールドのウォッチケースはわずかに酸化しますが、それは合金として含有している銀や銅が理由です。

20世紀半ばから合金の規格ができ、2N、3Nなどの名称を使用しカラーも統一されています。しかし2000年代からさらに多様なバリエーションを求めて新たな色味をもつ合金が開発され、ウォッチに使われています。その中にはロレックスの«エバーローズ»、オメガの«セドナ»、«ムーンシャイン»、ウブロの«マジックゴールド»などがあります。2024年、オーデマ ピゲは«サンドゴールド»を導入しました。光によりピンクからグレーの間でカラーが変化し、ブルーとブラウンのニュアンスも感じられる新しい合金です。 

金属名 イエローゴールド(BA) ピンクゴールド(OR) ホワイトゴールド(BC)  サンドゴールド(SG)
ゴールド(Au) 750 750 750 750
銅(Cu) 125 205 95 190
シルバー(Ag) 125 45 30 0
パラディウム(Pd) 0 0 125 60
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力強い主張、プラチナ

18世紀にコロンビアで発見されたプラチナは非放射性物質の中で最も重い金属です。その名前はスペイン語の«プラタ»(銀)の愛称で«小さな銀»といった意味です。もとはコロンビアの砂金採取者たちが、これは成熟していない金で価値がないと思い河に捨てていたといいます。

プラチナの物理的特性はまず産業界で証明されました。耐食性、非アレルギー性、優れた展性を備え、1800度まで溶けません(ゴールドは1000度で融解)。化学、医療、そして電子分野でも使用されています。

時計業界、特にオーデマ ピゲではプラチナはアールデコの時代に人気を得ました。時計やジュエリー業界で優れた作品が制作されています。ミニチュアブレスレットウォッチ、リングウォッチ、ブローチ、ペンダントなどで、しばしばルビーやダイヤモンドをセットしていました。

プラチナは1980年代にも活躍しています。オーデマ ピゲのコンプリケーションウォッチ、トゥールビヨン、ダブルコンプリケーションなどに使われています。限定モデルをいくつかの素材で展開する時、最も希少性の高いのはプラチナバージョンです!

プラチナはポリッシュ仕上げされている時、一目見ただけではスティールまたはシルバーに似ています。しかしゴールドよりも希少な上、独特の輝きがあります。宝飾師たちはこれを好んで使いました。石のセットに向いている上、カラーと輝きがダイヤモンドにぴったりだからです。最も大きな違いはその重さ。例えば1997年のロイヤル オーク オフショア25721PTは1kgの半分近くあります! 

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1930-1970年代、境界を曖昧にするスティール

スティールは昔から知られた素材です。今日では鉄に置き換わる存在となりました。しかしいつ頃からそうなったのでしょうか。スティールは18世紀から使用されてきましたが、鉄は長い間、産業革命の象徴のようなものでした。ブルックリン橋(1869年)やエッフェル塔(1889年)は鉄です。しかしエンパイア ステートビル(1930年)の構造枠はスティールです。

時計師たちは長い間、鉄とスティールをムーブメントのいくつかの部品に使用してきました。しかし産業革命以降、全てが変わりました。ウォッチケースの価格を下げるため鉄の合金がいくつか導入されました。アルジャンタンやクロームブラス、1870年代からはブラウンスティール(別名ガンスティール)、これは黒く酸化させることにより保護膜を生成させたものです。

1910年代に英国とドイツの鉄鋼業者が、クロームを加えることによりスティールの酸化を防止できることを発見しました。数十年のうちにステンレススティール(錆びないスティール)は中価格帯ウォッチで、シルバーとクロームメタルにとって代わることとなりました。そしてスポーツウォッチには最適のメタルとなりました。

ただしオートオルロジュリーの世界ではスティールはあまり使われません。例えば1934年から1962年の間、オーデマ ピゲではクロノグラフウォッチでスティールのものは82本、1956年からはオートマティックが数本のみです。市場が大きく変わったのは1972年のことです。 

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最も高価なスティール製ウォッチ

1970年、オーデマ ピゲのイタリア、スイス、フランス市場のディストリビューターたちは当時経営に就いていたジョルジュ・ゴレイに、これまで見たことのないウォッチを作ってほしいと依頼しました。スポーティでラグジュアリー、エレガントで快適なウォッチ。取締役会議の議長もヨットマンも着けられる、そんなウォッチです。この時、スティールという言葉が仕様書に書き込まれました。まさにスポーツウォッチの素材です。ここでの疑問は、これをどうやってゴールドのように高貴なウォッチにするか?というものでした。

答えはただひとつ、複雑性です。ジェラルド・ジェンタがデザインしたロイヤル オークは、数えきれないほどのデザインディテールと仕上げを組み合わせていました。ベゼルの45度のポリッシュ面取り、カーブしたファセット、ケースミドルの漸進的なアングラージュ、サテン仕上げのカーブした側面、幅が次第に細くなるブレスレットなど。スティールにこれほど手間がかけられたことはありません!スティールがまさに高貴な素材となるに値する作り込みでした。

当時オーデマ ピゲの広告エージェントであったユーゴ・ブクサーの初期の広告の一つでは、ステンレススティールを  «モダンな聖堂の高貴なメタル»と表現しています。市場はすぐに反応しました:ロイヤル オークがいくつかのゴールドウォッチより高価であっても、販売は大成功を収めたのです。詳しくはこちらでご覧ください。

このサプライズはほんの始まりにすぎませんでした。翌年からパテック・フィリップやIWCなど他の高級ブランドも高級セグメントでスティールの価値を認め導入し、この冒険に続いたのです。 

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新素材の40年

1970年代半ばからクォーツウォッチが市場を席巻し、スイス時計産業の存亡の危機が危ぶまれました。この危機を生き延びるため、業界は新しいフォルム、新しい機能、新しい素材の開発に集中しました。オーデマ ピゲ、オメガ、ティソ、そしてゼニスもその筆頭格です。次の章で主な素材について語る前に、ここに1970年から2010年代までの主な出来事をリストアップしました。

-1970 チタンの導入、オメガのシーマスター、シチズンのX8 Titanium

-1972 オーデマ ピゲのロイヤル オークによりスティールが新しい地位を得る

-1977 スティールとイエローゴールドの組み合わせ、オーデマ  ピゲのロイヤル オーク

-1980 ラバーブレスレット、MDM (ウブロ)

-1981 スティールとゴールドの溶接、オーデマ ピゲ(ピジャマ)

-1982 セラミック、ゼニス、その後1986年よりラドーにより有名になる

-1983 プラスチック(スウォッチ)

-1985 グラニット(花崗岩)、ティソ(ロックウォッチ)

-1986 隕石ダイヤル、コルム

-1988 タンタル、オーデマ ピゲ(ロイヤル オークとユイティエム)

-1989 ウッド、ティソ(ウッドウォッチ)

-1990 ジェムストーンのガラス、オーデマ ピゲ(バロック)

-1993 ラバーカバーのメタル、オーデマ ピゲ(ロイヤル オ

-ーク オフショア)

-2002 アラクライト、オーデマ ピゲ(ロイヤル オーク コンセプト)

-2007 フォージドカーボン、オーデマ ピゲ(ロイヤル オーク オフショア)

-2010 セルメット、オーデマ ピゲ

-2010 BMG、オメガ、名称« © liquidmetal » 

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硬く軽量なチタン

チタンは焼入れ鋼と同レベルの硬度があり、半分の軽さ、傷がつきにくい上、錆びません。18世紀に発見されたチタンは時計業界に少しずつ入ってきました。1930年代のDurinvalという名のスパイラルの合金の中に含有されていたほか、人工サファイアの着色にも使われましたが、特にカッターの刃を硬くするために使われました。

しかし1960年代にはレベルアップし、アポロ飛行船や米国ロッキードST-71ブラックバードというステルス戦闘機のボディに使われました。1970年、オメガとシチズンは同時に初のチタンウォッチを発表します。1986年、オーデマ ピゲはチタンを時計ムーブメント部品に使うことを決めます。軽量で頑丈なチタンは、史上初の自動巻きトゥールビヨン、モデル25643のキャリッジに使用されます。

1998年、ロイヤル オーク オフショア 25721のチタンバージョンが初めて登場しました。目的は、オーバーサイズのこのウォッチを軽くするためです。ゴールドでは410グラムであるのに対して、チタンでは220グラムとなりました。チタンを使うことによりケース重量を150グラムまで下げることができます。市場はすぐに反応しました:1998年から2014年の間に3000本ほどが販売されました。 

チタンでケースを製造する際にはノウハウを確保する必要があります。というのはチタンは比較的低い温度で燃えるからです。最初に加工した時、アトリエでは“熱い”思い出があります!2000年始めからチタンは常にオーデマ ピゲのカタログに入っています。

時計業界では主にグレード1から5のチタンを使います(ASTM規格による)。どのグレードもメリットとデメリットがあります。より一般的なのはグレード2で、耐食性に優れ、軽量です。オーデマ ピゲが使用しているのは«グレード5»またはTA6Vで、硬度、濃度と溶接しやすさのバランスが優れています。

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黒さ、重さ、希少性のタンタル

スティールと同じくらい硬く、ゴールドとほぼ同じ重量のタンタルは、延性があり、耐食性に優れ、バイオ還元性があり、電導性、熱伝導性が高いメタルです。外科手術の器具やインプラント、電子部品に使われています。

タンタルは1930年代に徐々に時計の世界に入ってきました。当初は切削ツール、バレルのスプリングの合金として、その後クォーツウォッチのコンデンサーに使われました。

1970年代と1980年代には、ロイヤル オークのブラックバージョンを望む声がセレブの顧客の間から上がっていました。カール・ラガーフェルドがこれを自身で実行、つまりロイヤル オーク5402をおそらくカタフォレーズという技術でブラックに変身させました。ギリシャ国王とスペイン国王は、狩猟をする際に光を反射しないよう、ロイヤル オークの色を銃のように暗くすることをロンドンの銃器店に頼んだと言われます。

PVD加工が導入されるまで、黒に近くする技術はオーデマ ピゲの求める仕上げのレベルに達していませんでした。タンタルはメタルの構造自体がややブルーがかったチャコールグレーであるため、外観的には十分優れた代替となりました。ではタンタルはどこで見つけるのか?タンタルは調達が難しい上に製造にも困難な点がありました。

1988年、オーデマ ピゲはいくつかのモデルにタンタルを導入します。その中にゴルファーのニック・ファルドーとのコラボモデル(14486)、そしてクロノグラフ«ユイティエム»がありました。この冒険は2012年が最後となります。リオネル・メッシとのコラボ限定モデルのロイヤル オーク(26325)は、タンタルにピンクゴールド、スティール、プラチナをそれぞれ組み合わせた3バージョンがありました。この時期にPVDのブラック加工技術が完成し、ブラックセラミックの部品も増えてきました。タンタルは傷がつきやすく、研磨が難しい上、2021年の紛争鉱石リストに加えられたことから、オーデマ ピゲでは使用されなくなりました。

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ラグジュアリーではないラバー

ウブロが1980年に導入して以来、ラバーはまずスポーツウォッチのストラップ素材として使われるようになります。防水でしなやか、快適でカラーも形状も思うままにできる素材ですから何ら驚くことはありません。

しかしケースに使うことは稀でした。話は1990年に始まります。ロイヤル オーク オフショアの企画が持ち上がる中、ボタンとリューズをラバーでカバーするアイデアが持ち上がっていたのです。その経緯についてはこちらに語られています。簡単なことのように思えましたが、実際には難しい点があり、1992年に発売が予定されていたものの翌年に延期されました。スイス・ジュラ渓谷のメーカー、Pibor (BIWI)が開発した技術がラバーに新たな世界を開きました。ラバーと金属との完璧な密着、形状の維持、耐消耗性、防水性、温度変化への耐性を確保できるようになったのです。

2001年、オーデマ ピゲはウォッチのベゼルをラバーでカバーすることでさらに一歩先へと進みました。ベゼルは最も傷つきやすく、衝撃を受けやすい部品です。しかしゴールドがラバーの下に隠されているとすれば、機能だけではない何かを感じます!アイデアは奇抜なものでしたが、モデル25940OKの成功は予想以上のものでした。

2000年代の終わりには、セラミックのベゼルがラバーにとって代わりました。装飾的により優れ、傷もほとんどつかないからです。

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セラミック

非アレルギー性、劣化せず、着色が可能、さらに軽量でスティールより硬いセラミックは全ての特性を備えているように思えます。

セラミックは時計業界には18世紀に現れ、特にマイセン陶器で装飾されたフランス置時計に使われました。その後1960年代にドイツ、英国の壁時計に使われ、台湾からも入ってきて台所の壁時計によく見らるようになりました。

セラミックという同じ言葉を使っていますが、«ハイテク»セラミックはかなり違うものです。こちらは完璧に粒を揃え、均一に整えたジルコン酸化物のグレインを使います。より硬く機能性に富んだセラミックは時計業界にはまずムーブメント部品として入ってきました。1960年代のスパイラルのプロトタイプ、電子ウォッチのコンデンサー、そしてボールベアリングに使われるようになります。1982年、ゼニスが初のセラミックケース ウォッチを発表します。セラミック自体は1986年からラドーにより有名になっていました。

伝統的にはセラミックは高温で成型されますが、加工には硬すぎると思われていました。オーデマ ピゲは2006年にロイヤル オーク オフショア ルーベンス・バリチェロでセラミックを導入します。オーデマ ピゲはバンゲルター社と提携してセラミックの加工技術を開発し、サテン、アングラージュ、ダイヤカットなどの高級仕上げができるようになりました。10年ほどの開発期間を経て、初のオールセラミックのロイヤル オークが登場します。モデル26579CEは大成功し、その後ホワイトセラミック、そしてブルー、ブラウン、さらにはマルチカラーまで展開しています。 

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両世界の強者、セルメット

金属の合金はずっと昔からあります。しかし金属とセラミックを混ぜるというのは異例なことです。セルメットはセラミックとメタルを混合させています。目的はセラミックの硬度と耐摩耗性、耐食性、耐熱性、その全てに加えメタルの柔軟性(展延性)と耐衝撃性を兼ね備えさせるためです。

1923年に登場したセルメットは多くのバリエーションで展開されました。ガスタービンや宇宙船の断熱壁にも使われています。時計業界には1960年代に登場し、ウォッチ自体ではなくその製造機械にも使用されています。カッターとしてこれ以上のものはありません。

2010年、オーデマ ピゲはセルメットの外装に挑みます。非常に硬いため傷がほぼつかない… ということは硬すぎて加工やサテン仕上げができないということでもあります。そこで時計師たちはこのメタルをロイヤル オークのベゼルだけに使うことにしました。この部分が最も傷にさらされやすいからです。2010年から2012年の間、いくつかの限定モデルがデザインされました。その中にカーレーサーのヤルノ・トゥルーリとのコラボ、そしてミハエル・シューマッハとのコラボによる2つのモデルがありした。さらにチャリティ向けに制作されたユニークピースもあります。 

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カーボン、フォージドそれともファイバー?

カーボンは2種類の使い方があります。より一般的なのはカーボンファイバーです。カーボンの長い糸軸を編み、繊維のように仕上げたもので見るとすぐわかります。自動車業界で使われていたこの技術は1998年に時計業界に導入され、タグ ホイヤー ウォッチのダイヤル、そしてカンディノのカーボンウォッチのケースに使用されました。

もう一つの種類はフォージドカーボンと呼ばれるものです。カーボンウォッチの糸軸はずっと短く、樹脂の中にランダムに混ぜこみます。これにより捻りへの抵抗力は全方向で大きくなります。宇宙航空産業で使われているこのフォージドカーボンを2007年、オーデマ ピゲはロイヤル オーク オフショア チーム アリンギ に使いました。

スイスのヨットチームのために作られたこのウォッチはとても軽く、視認性の高いデザインです。このチームは世界最大のヨットレースの一つ、アメリカズカップで優勝し、オーデマ ピゲとフォージドカーボンは注目を集めました。多くのモデルが続きましたが、その中にわずか70グラムというミレネリー カーボンワンがあります。

フォージドカーボンは確かな地位を確立しました。リシャール・ミルはこれをさらに進め、2010年にオーデマ ピゲ ルノー エ パピとの提携により世界で最も軽量なウォッチをデザインしました。テニスプレーヤーのラファエル・ナダルが腕に着けたRM027です。ブレスレットを除けば20グラムのこのウォッチは、カーボンとクォーツ層(ガラスファイバー)をミックスした素材でできています。10年ほどの間にカーボンウォッチに10ほどのバリエーションが登場しました。ウブロ、パネライ、ロジェ・デュブイ、ゼニス、ブライトリング、ジラール・ペルゴー、オリス、IWC、ブルガリなどです。

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弾性を持つメタル、 BMG

メタルガラスまたはBMG(Bulk Metallic Glass)は非常に硬くしかも柔軟性を持ったメタルで、精密機械工業、ハイレベルスポーツの分野で使われています。

BMGにはいくつかの種類がありますが、それはこのメタルの場合、製造プロセスが重要であり、合金の中身はそれほど影響しないからです。1960年代、研究者たちは液状になるまで加熱されたメタルを超急速に冷却すると、そのような短時間では構造が元通りに戻らないことを発見しました。分子はあまりに急速に固まるため、液状だった時の無秩序状態がそのまま維持されます。これはガラスの結晶構造に似ています。BMGは従ってガラスの構造を持ったメタルと言うことができます。

ウォッチにとってBMGという素材は大きなメリットがあります。こうして得られたメタルは非常に硬く、ほとんど傷がつかないからです。さらにウォッチケースが多少の衝撃を受けても、柔軟性によりすぐに形状が戻ります。

2010年にオメガが導入し、その後パネライも使用するようになったBMGは様々な形状をとることができます。オーデマ ピゲが2021年から採用している合金は、まず貴金属をベースとしています。パラディウムは耐消耗性と耐食性に優れ、力強い輝きがあります。一目見た感じではプラチナにも見えます。しかしBMGはより軽量でより耐性が優れています。 

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カラーの結びつき、クロマ

一つの素材の中に、複数の異なるカラーを出すことができます。例えばセラミックはブルー、グリーン、ブラックなどにすることができます。しかしこれまで一つの部品は均一な一つのカラーだけでした。高温に熱して溶解し、含有する全ての要素が混ざり合い、冷却のフェイズに入って固まります。例えると、シロップを凍らせる時に似ています。その後一般的には部品を溶接したり接着したりして組み立てます。

2019年にオーデマ ピゲの素材開発担当はクロマプロジェクトをスタートさせました。部品に複数のカラーが並びあい、つまり複数の素材がとなりあって、しかも全体は完璧に均一であるというものです。この方法は« SPS »つまりSpark Plasma Sintering(スパークプラズマ焼結)と呼ばれます。宇宙航空産業で使われているSPSは、素材を非常にきつく結びつけるため分離することができません。目視でも物理的にもはっきり異なるにも拘わらずです。

2024年、オーデマ ピゲはこの研究の初期成果を発表しました。セラミックポリクローム(多色)のプロトタイプ、そして異なるカラーのゴールドを結びつけたウォッチのプロトタイプを発表しました。これは、素材の歴史に新たなページを開き、さらなる可能性を予兆するものです。 

オーデマ ピゲ  ヘリテージ、2024年5月。

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